食べて寝る

食べて寝て病気で寝てます。ほかに本を読んだりイベントに行ったりしています。

海戦漫画「赤城と比叡」を読みました

 5/26に白泉社から楽園コミックス扱いで発売された「赤城と比叡」。
日清戦争から第二次世界大戦まで、実際の海戦をテーマにした短編を8本収録。
タイトルにもなった戦艦赤城の日清戦争での激戦を描いた「赤城と比叡」他
実装された新兵器 「シュノーケル」に潜水夫たちが四苦八苦する 「長い鼻」
日本の駆逐艦白露型4番艦夕立の圧倒的勝利を描いた 「本日夕立強シ。」
など短編が8本収録されている。
 著者は黒井緑さん。初の単行本だ。

 

 作者はコミティア出身。当時のサークルカットはカバー中に収録されている。
描いた漫画を毎回0円で頒布していたというから驚いた。壮大な振り込めない詐欺じゃないか!

 「赤城と比叡」このタイトルを見て僕は真っ先に艦隊これくしょんの 「赤城」を連想した。
 消費資材が多いとのことでユーザーの間では大食いキャラ扱いされ
公式グッズなどではお茶碗に大盛りのご飯を持っているポーズが定番になっている擬人化された空母赤城の事だ。

 しかし、このコミックの「赤城」は艦隊これくしょんの元ネタになった 「空母赤城」ではない。
明治時代に作られた同じ名前の戦艦の事だったのだ。

「戦艦赤城」とは、調べたところによると、1890年(明治23年)8月20日に竣工(完成)。
今から120年以上前に建造された戦艦だ。
 日清・日露戦争で戦い抜き、その後除籍。
民間の会社に売却され、名前を 「赤城丸」へ変更。
その後二度も沈没したものの、引き上げて修復されたという。
 1953年、老朽化のため惜しまれながら大阪で解体。
艦齢(使用された年数)はなんと63年。半世紀以上愛された船だった。

 本のタイトルにもなっている短編「赤城と比叡」では
日清戦争黄海海戦で激しい砲戦の中、巡洋艦代用 「西京丸」を守り抜いた最も有名なエピソードが描かれている。

 戦争をテーマにした漫画だ。実際の戦争をベースにした戦艦同士の激しい砲戦が展開される。
戦争なので人が死ぬ。死ぬ。
しかし映画などでよくある、死ぬ間際に、「おれは・・・」などと遺言を託すシーンは、なかった。
人が死ぬ事は、なにもない事なんだ。あっさりと人は死ぬ。
その「死」のリアリティに、まるで戦争当時の海戦フィルムをその場でまわされているような。
そんな錯覚に陥りそうになった。


 漫画はすべて白黒だけで描かれていて、海の中も、陸の上の描写にも一切トーンは使っていない。
つけペンのゆがみ、かすれ。描き文字には油性ペンを使っているのか、にじみが多い。
艦から吐かれる煙は大胆に黒のベタ塗り。軍艦のスケール感もあいまって、まるで怪物がはく息のように見えてくる。
空は大胆に白一色。海面の波は多くの線でうねりを表現。メリハリが効いている画面構成。

 最後のページには、戦艦赤城の描きおろしとじこみポスターが付いている。
作者の詳しい解説付き。ひとつひとつのにコメントが付いており、戦艦赤城の構造を知ることができる。
カバーそでには軍服の青年が。同じ絵かと思ったら夏服と通常バージョンの2種。
これから描かれるであろう漫画の予告編など描き下ろしたっぷりのいたれりつくせり!

 「本艦のこの状態で、まだ戦えというのですか!」

この漫画を描いた作者にはもちろん
当時戦った人々にも、敬意を表したくなる漫画だ。