食べて寝る

食べて寝て病気で寝てます。ほかに本を読んだりイベントに行ったりしています。

高校の時に知り合って自殺した友人の話

友人の話を別のブログに書いていました。

思いだしたときに書かないと、友人の事を忘れてしまう。それが嫌だった。

どこかに友人の事を残したかった。いつでも思い出せるように。

この事を書いたブログを非公開にすることにしたので

当時の文章を推敲してここに残します。

これを書いたのは3年前くらいだったと思います。

 

今日は食べ物を食べていて
ふと高校時代の友人の事を思い出したので書く。
少し長いですがお付き合い下さい。

県内でもトップクラスの美術部目当てに受験した
志望校になんとか入学した僕は
お目当ての美術部に入学し
それなりに青春を謳歌していた。

1年生、入学してしばらく経った頃。
昼休みに僕は、その子を見つけた。
(その子の名前は仮にMちゃん にしておく)

Mちゃんは昼休み皆がグループでお昼ご飯を食べている中
教室の片隅で一人、ご飯も食べずにじっと机を見つめていた。
僕は気になって声をかけた。
「ご飯、食べないの?どうしたの」
Mちゃんは、はっと僕を見て小さな声で
「あ、や・・・いや、なんでもないです。」
「おなか空かないの?」
「・・・おなか空いてなくて・・・」

その時はこのやり取りだけだった。
後でクラスの人に聞いてみると、Mちゃんは入学当時からずっと昼休みはそうしているとの事。
ご飯を食べている所を見たことがないという。
クラスの人は
「あの子、腕にすごい傷があってさ~。きっとリストカットだよ、ヤダナア。」
と。

ただ、僕はなぜかそのMちゃんの事が無性に気になった。
ご飯持ってきてないんだ。
おなか空くだろう。おなかが空いてるってつらいよなあ。
そう思った僕は、次の日自分のお昼ご飯のおにぎりを多めに握り
Mちゃんに渡しにに行った。

「Mちゃん、ご飯食べてないみたいだから・・・これ、よければ食べてよ」
「!!!いいです!!!」
すごい拒否反応を示された。
「でも。おなかすくy」
「いいです!!!!迷惑かけてごめんなさい!!!!ホントにいいんです!!!!ごめんなさい!!!!!」
取りつく島もないくらいに断られた。

僕はしょんぼりしつつ、友人と部室でご飯を食べた。
その後もMちゃんは昼ごはんを食べている様子はない。
なんとかして、昼ごはんを食べてほしい。
僕は考え続けた。さりげなくご飯を渡せる方法はないだろうか。
そして閃いた!
さっそくその方法を実行に移してみることにした。

しばらくたったある日。
僕は購買で買ったパンを持ってMちゃんの居る教室へ向かった。
「これ・・・よければ食べてよ」
「いいでs」
断られたがすかさず
「僕欲張ってパン買いすぎちゃってさ。食べれそうにないんだ。捨てるのかわいそうだし、Mちゃんに食べてもらった方がこのパン幸せだと思うきっとそうだと思うんだ!!」
とまくしたて
「え、でm」
まだ何か言いたそうなMちゃんを残して
「じゃ!!!!」
教室を出ると、猫まっしぐらさながらに廊下を猛ダッシュ。部室に続く階段を駆け降りた。

Mちゃんはパンを食べてくれただろうか・・・?
半ば(というかほとんど)パンを押し付けてきた僕は
友人と部室でご飯を食べていた時もその事ばかりが気になった。
移動教室の荷物を取りに教室に戻ってきた。
そこにMちゃんが近づいてきて、小さな声で
「パン、ありがとうございました・・・おいしかったです。ごめんなさい」
僕の試みは成功した。
その日から、僕はMちゃんと友達になった。

僕はパンを買う日はMちゃんになにかと理由を付けてあげてた。
Mちゃんは最初は拒否していたが、だんだん恥ずかしそうに受け取ってくれるようになった。
家庭環境にちょっぴり問題があるようで
僕の家もそうだったので徐々に打ち解けていった。
美術の移動教室の際は一緒に移動するようになった。
そして、僕に色んな話をしてくれるようになった。

うまくいっていない家族の事。
ゲームは音ゲーが好きだという事。
腕の傷は猫を飼っていて、その猫に付けられた傷だという事。
その猫がとても可愛いという事。
そして、絵が好きだという事。
僕はMちゃんを美術部に誘った。
そして2学期半ば、Mちゃんは美術部に入った。

Mちゃんは美術部に入り、他の同学年の部員と徐々に打ち解けて
前みたいに一人で居る事がだんだん少なくなった。
Mちゃんの口癖は「もう・・・」だった。
僕は学生時代から無駄に気持ちが熱く、無茶ばかりしていたので
Mちゃんはそんな僕に
「孝太郎さんは・・・もう!無茶しちゃだめだよ」
と良く拳をポコポコ叩き付けて叱られた。
怒った時はほっぺたを膨らませるのもMちゃんの癖だった。

3学期には、友人とMちゃんと音ゲーポップンをしにゲームセンターに行った。
Mちゃんは音ゲー、特にポップンミュージックが好きだった。
3人で色んな曲をセレクトし、無我夢中でボタンを叩きまくった。
とっても楽しかった。
次の日、Mちゃんは僕に手紙をくれた。
「遊んでくれてありがとう。」
とても嬉しかったという手紙だった。
Mちゃんはそれまで、友人と遊びに行ったことがなかったと言った。

2年生になってMちゃんとはクラスが別れたが
互いに美術部という接点と、美術の授業は一緒だったので会ってはお喋りしていた。
部活で油絵を自由なテーマで描いて高校美術展に出そうとなった時
Mちゃんがテーマに選んだのは冷蔵庫だった。
冷蔵庫の中身を描く、と言った。

Mちゃんはとても絵が上手かった。
デッサンも上手かったが、特に油絵は圧巻だった。
ぐいぐいと、生き生きと描いていく。
Mちゃんの手にかかると冷蔵庫の中身がカラフルでそれでいてシンプルで魔法のように輝いた。
Mちゃんには、絵の才能があった。
Mちゃんの絵は、高校美術展で賞を取った。
そのころ僕は昨年入院して描けなかった風景の油絵を描いていた。

しかしMちゃんは、美術部を辞めることになった。
理由は「部費を払う事が出来なくなった」というものだった。
僕のおこづかいではMちゃんの部費を払うことはできず
何も出来ない悔しさに苛まれながらMちゃんは美術部を辞め、僕はそれを見送った。

部活を辞めてもMちゃんは美術部に顔を出した。
そのたびにお喋りした。
バス停まで一緒に帰ったりもした。
美術の授業の時に描くデッサンはMちゃんの作品は相変わらず圧巻だった。

運動会が開かれた。
運動会は僕は手術を受けていたので参加することが出来ず
部室で部活の皆と一緒にご飯を食べようと、Mちゃんを誘いに行った。
「Mちゃん、部室で皆待ってるよ。一緒にご飯食べよう」
Mちゃんはなぜか、浮かない顔をしている。
「・・・いいよ。今日は私、いい」
「どうしたの?一緒にいつもみたいに、ご飯食べようよ」
「・・・私・・・」
Mちゃんは自分のお弁当を差し出した。
ラップに包まれた2個のおにぎりと、味付けのり。
「運動会の、日は、皆豪華なお弁当を持ってくるよ・・・ね・・・
私のお弁当、恥ずかしくて・・・皆に・・・見せられない・・・」
Mちゃんは泣きそうな顔で、僕にそう言った。
僕は、何も、言えなかった。。
Mちゃんは僕にずっと謝っていた。

3年になっても少しだけど交流は続いた。
美術部の後はMちゃんは文芸部に入っていて
文芸部は部費がいらず、自分の作品をコピー誌で出すことが出来たので
自分の作品集をぽつぽつと出していた。
僕は美術部と兼任で図書室を管理する図書委員長になっていた。

文芸部の活動場所は図書室だったので
Mちゃんの作品集をもらいに放課後、ちょくちょく顔を出していた。

卒業後は僕はアニメーターを目指し専門学校へ
Mちゃんはデザインの専門学校へ行った。
学費を払えるか危ぶまれたがなんとか工面出来たのだという。
Mちゃんはそこで才能を爆発させ
大きな賞を取ったとか、●●賞を取ったとかという情報が部活の友人を伝って
しょっちゅう僕の耳に入ってきた。
Mちゃん頑張ってるなあ。僕もやらにゃ!!
そういう気持ちでアニメの動画を描いていた。

その後、僕は病気でアニメーターの夢をあきらめた。
二度と絵は描かないと思っていた。

僕は地元に帰り、病気の療養期間を経て
アルバイトをしていた。。
だいぶん仕事にも慣れてきた頃。
一通のメールが友人から来た。

Mちゃんが自殺した。

・・・は?
わけがわからなかった。
Mちゃんは僕が夢をあきらめた後も学校に通い
デザインを制作していた。賞も取っていた。
Mちゃんは輝いていた、そう聞いていた。
そのMちゃんが、死んだ。
自ら、死を選んだと。

泣いた。
職場にも関わらず号泣した。
涙が止まらなくて、わけがわからなくてぐしゃぐしゃに泣いた。
とにかく涙が止まらなくて、すぐにそのメールの友人に確認した。
夢なら良かったのにと何度も願ったが、事実だった。
Mちゃんは、死んでしまった。
卒業後僕とMちゃんは一回も連絡を取っていなかった。

Mちゃんの家族の意向で線香をあげに行くことは出来なかった。
その後、部活の皆で集まる時も
皆Mちゃんの話題を出さなくなった。
最初はぽつりぽつりとしゃべる友人もいたが
そのうち誰も、Mちゃんの話をしなくなった。
まるで最初から居なかったように。

僕はどうしても納得いかなかった。
Mちゃんは確かにいたのに。
誰も、その話をしない・・・。
Mちゃんが描いた絵も、賞を取ったデザインも今は見つけることが出来ない。
Mちゃんが生きた証がどこにもなくなっていくのが怖かった。

せめて僕だけは、Mちゃんを忘れないでいようと思った。
僕にはそれしか出来ない。
そう思って今、思い出した今
この記事を書いた。

僕は今、絵を描いている。
二度と描かないと思っていた絵に前よりものめり込んでいる。